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消費税に対応した記帳方法1

超簡単!税情報 2004年10月31日発行(第120号)

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   □□□「超簡単!税情報 初心者のための税のいろは」□□□

発行元:社団法人 杉並青色申告会 2004/10/31 No120   読者数:4085
https://www.aoiro.org/

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皆さん、こんにちは。谷垣財務大臣の2007年(平成19年)からの消費税率引き
上げ発言がありました。勿論まだ決定ではありませんが、今後引き上げをめぐ
っての議論が活発になってくるでしょう。現在でも消費税を価格に上乗せでき
ず、利益を削っている納税者が多くいます。この増税が景気に与える影響も心
配です。

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┃■身近な税の話   「消費税に対応した記帳方法1」         ┃
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平成15年度税制改正において消費税法が改正されました。これにより多くの納
税者が消費税課税事業者となりました。
当会では先日「消費税記帳方法説明会」を開催しました。その内容を数回に分
けて、ご説明いたします。

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 平成15年度税制改正
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1、納税義務が免除される基準期間における課税売上高の上限が「1,000万円以
下」(現行3,000万円以下)に引き下げられました。
 
2、簡易課税を適用することができる基準期間における課税売上高の上限が「5
,000万円以下」(現行2億円以下)に引き下げられました。
 
3、総額表示が義務付けられました。
 
個人事業者に関しては平成17年分の課税期間から適用されます。
 
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課税制度
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消費税の課税制度には2種類あります。また、平成17年分課税期間の場合、平
成15年分(基準期間)の課税売上高により課税方法が変わります。
 
<1,000万円以下>
免税事業者で、消費税の申告納税の必要ありません。
 
<1,000万円超5,000万円以下>
課税事業者となり「本則課税」と「簡易課税」のいずれかを選択できます。
 
<5,000万円超>
課税事業者となり「本則課税」で納税額を計算します。

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本則課税とは 
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消費税額の原則的な計算方法です。
 
「納付する消費税額」=「売上に係る消費税額」-「仕入等に係る消費税額」
 
「売上に係る消費税額」=「1/1~12/31の課税売上高(税込み)」×5/105
 
「仕入等に係る消費税額」
         =「1/1~12/31の課税仕入高(税込み)(注1)」×5/105
 
(注1)課税仕入れにならない主なものとしては
(ア)租税公課
(イ)給料・専従者給与
(ウ)減価償却費
(エ)利子割引料
(オ)祝金、見舞金
(カ)商品券、ビール券の購入費
(キ)地代、住宅の家賃
 
※「売上に係る消費税額」より「仕入等に係る消費税額」の方が多い場合は、
その多い金額が還付されます。(例:店舗を新築したとき等)

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簡易課税とは 
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前々年(基準期間)の課税売上高が1,000万円超から5,000万円以下の事業者が選
択できる簡単な消費税額の計算方法です。
 
「納付する消費税額」=「売上に係る消費税額」-「仕入等に係る消費税額」 
 
「売上に係る消費税額」=「1/1~12/31の課税売上高(税込み)」×5/105
 
「仕入等に係る消費税額」=「売上に係る消費税額」×みなし仕入れ率(注2)
 
(注2)みなし仕入れ率は事業区分ごと定められています。
<第1種事業>
卸売業等
 
みなし仕入れ率:90%
 
<第2種事業>
小売業
 
みなし仕入れ率:80%
 
<第3種事業>
製造業、建設業等
 
みなし仕入れ率:70%
 
<第4種事業>
飲食業等 第1・2・3・5種事業に当てはまらない業種
 
みなし仕入れ率:60%
 
<第5種事業>
サービス業、不動産貸付業等
 
みなし仕入れ率:50%
 
※原則として平成17年分より「簡易課税」を選択するには、前年(平成16年)
末までに「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出しなければなりません。た
だし、経過措置として、平成17年分より新たに課税事業者になるもの(選択し
たものを除く)が、平成17年中(平成17年12月31日まで)に「消費税簡易課税制
度選択届出書」を提出したときは平成17年分から簡易課税の適用を受けること
ができます。
 
※簡易課税を選択すると、2年間は継続して適用を受けなければなりません。
 
※簡易課税制度では、消費税の還付は生じません。

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Q.平成17年に初めて消費税課税事業者になります。本則課税を選択するか、簡
易課税を選択するか迷っています。平成17年からの記帳はどうしたらよいでし
ょう。 
 
A.平成17年より新規課税事業者になる場合は、経過措置で「消費税簡易課税選
択届出書」の提出期限が平成17年12月31日となっているので、本則課税と簡易
課税の選択はその時までに決めればすみます。ただし、この場合は、平成17年
1月1日から「本則課税」と「簡易課税」の両方に対応した記帳をしておくこと
が必要です。次回詳しい記帳方法についてご説明いたします。

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次回は、今回ご説明した「本則課税」と「簡易課税」の特徴をもとに「本則課
税」と「簡易課税」に対応した記帳方法についてお話します。

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