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平成16年度税制改正 1
超簡単!税情報 2004年6月6日発行(第101号)
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□□□「超簡単!税情報 初心者のための税のいろは」□□□
発行元:社団法人 杉並青色申告会 2004/6/6 No101 読者数:4213
https://www.aoiro.org/
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皆さん、こんにちは。からっとした過ごしやすい日が続いていましたが、いよ
いよ梅雨ですね。梅雨は体調を崩しやすいので皆さんお気をつけ下さい。ちな
みに明日から当会の会員旅行で添乗として四国にいってきます。四国で来週の
内容を考えてきます。
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┃■身近な税の話 「平成16年度税制改正1 」 ┃
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今回から主要な平成16年度税制改正についてお話します。
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青色申告特別控除の改正
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平成17年分より青色申告特別控除55万円が65万円に引き上げられ、青色申告特
別控除45万円が廃止されます。
現行 改正
<平成16年分まで> <平成17年分から>
(記帳方法) (提出書類) (控除額) (控除額)
簡易簿記→→損益計算書のみ →→10万円控除→→10万円(継続)
簡易簿記→→損益計算書と貸借対照表→→45万円控除→→廃止
複式簿記→→損益計算書と貸借対象表→→55万円控除→→65万円控除
※現在45万円控除の方は、平成17年より複式簿記で記帳をし、損益計算書と貸
借対照表を期限内に提出すれば、控除額は65万円になります。記帳方法が簡易
簿記のままであれば控除額は10万円となります。
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青色申告特別控除とは?
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不動産所得又は事業所得がある青色申告者がその事業につき帳簿書類を備え付
け、取引の内容を記録している場合、下記の金額を不動産所得又は事業所得の
金額から差し引くことができる制度です。
なお、不動産所得と事業所得の両方がある人は、まず不動産所得から差し引き、
控除しきれない金額がある場合はその控除しきれない金額を事業所得から差し
引きます。
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控除金額と適用要件は?
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<55万円控除>
1)その年分の確定申告書に正規の簿記(通常は複式簿記)の原則に従った帳簿書
類に基づいて作成された貸借対照表を損益計算書等とともに添付すること。
2)その年分の確定申告書を提出期限までに提出すること。
3)その年分の確定申告書に55万円の控除を受ける旨を記載すること。
(注)不動産所得のみの場合はその不動産の貸付が「事業」(※)としておこなわ
れていることが必要です。
<45万円控除>
1)その年分の確定申告書に簡易な簿記に係る帳簿書類その他の書類に基づいて
作成された貸借対照表を損益計算書とともに添付すること。
2)その年分の確定申告書を提出期限までに提出すること。
3)その年分の確定申告書に45万円の控除を受ける旨を記載すること。
(注)不動産所得のみの場合は、その不動産の貸付が「事業」(※)としておこな
われていることが必要です。
※55万円控除と45万円控除の違いは、複式簿記で記帳しているか、簡易簿記で
記帳しているかによります。
<10万円控除>
要件は特別なく、55万円及び45万円を適用できない人が適用できます。
事業に至らない業務的規模の不動産所得者及び山林所得者にも適用があります。
(注)3種類のいづれの控除も、控除額の限度額は控除額(55万円、45万円、10万
円のいずれか)と所得金額のどちらか少ない金額です。
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(※)「事業」とは
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建物や土地の貸付が「事業」として行われているかどうかの判定は特に反証が
ない限り、通常次により扱われています。
1)貸室、アパート等については、貸与することができる独立した部屋数がおお
むね10室以上。
2)独立した家屋の貸付は、おおむね5棟以上。
3)土地の貸付は、おおむね50件以上。(貸地はおおむね5件が貸室1室に相当)
※上記を組み合わせての適用が可能です。
例)貸室7室、駐車場15 件→「事業」
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当会の取り組み
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当会では複式簿記での記帳を推進する取り組みとして
6月18日(金)~6月23日(水)にパソコンセミナーを開催します。以後順次開催す
る予定です。また、夏には複式簿記説明会を業種別に開催予定です。そして、
11月ごろには「記帳確認指導会」を開催する予定です。
当会の方は是非ご参加下さい。また新規入会者も募集中です。
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Q.パソコンで記帳すると簡単に複式簿記ができると聞きましたが本当ですか?
A.大部分のパソコンの会計ソフトは複式簿記を前提にシステムが構築されてい
ますので、そのソフトを利用して記帳することにより複式簿記で記帳できます。
(一部のソフトは複式簿記でないものもあります。)しかし、正しい操作方法と
正しい簿記の原則を理解していないと正しい帳簿にはなりません。先週号まで
のバックナンバーを参考に適切に記帳して下さい。
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Q.複式簿記で記帳するには必ずパソコンで記帳しなければだめでしょうか?
A.そんなことはありません。複式簿記の知識を持って、その原則に従って手書
きで記帳すれば立派な複式簿記です。しかし、正しく指示をすれば転記の必要
や計算ミスや集計の手間が省けますので会計ソフトを使用すると日々の記帳の
負担が減ります。自分にあった記帳方法で記帳することをお勧めします。
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Q.青色申告特別控除額が 45万円から10万円に下がってしまうと税額はどれくら
い増えてしまうのですか?
A.税額は控除額だけで決まるわけではありませんので、一概に言えませんが青
色申告特別控除前の所得金額が243万円で所得控除は基礎控除(38万円)のみと
仮定すると、
<改正前>
243万円(控除前所得金額)-45万円(青色申告特別控除)=198万円(所得金額)→(1)
198万円(1)-38万円(基礎控除)=160万円(課税される所得金額)→(2)
160万円(2)×10%(税率)=16万円(定率減税前税額)→(3)
16万円(3)×20%(定率減税)=3万2千円(定率減税額)→(4)
16万円(3)-3万2千円(4)=12万8千円(所得税申告納税額)→(A)
243万円(控除前所得金額)-10万円(青色申告特別控除)=233万円(所得金額)→(1)
233万円(1)-38万円(基礎控除)=195万円(課税される所得金額)→(2)
195万円(2)×10%(税率)=19万5千円(定率減税前税額)→(3)
19万5千円(3)×20%(定率減税)=3万9千円(定率減税額)→(4)
19万5千円(3)-3万9千円(4)=15万6千円(所得税申告納税額)→(B)
15万6千円(A)-12万8千円(B)=2万8千円(改正による増税額)
上記は所得税のみですので、住民税や国民健康保険料を含めるとかなりの負担
増となります。是非、平成17年分から頑張って複式簿記で記帳しましょう!
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次回は老年者控除と公的年金控除についてお話します。65歳以上の公的年金を
もらっている人に関係する話です。お楽しみに。
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東京国税局長より設立許可を受けている公益団体です。
役員は会員の中から選ばれ、ボランティアで会の運営にあたっています。
会員の疑問や相談に応じるため事務局に職員をおき、
税金問題をはじめ、様々な相談に応じています。
主な会員層は小規模事業者であり、記帳指導をはじめ、
税務・法律・経営・金融・労務ほか旅行・共済などの福利厚生事業も
幅広く行っています。
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